kindaitsushinshisho

近大通信司書

図書館情報資源概論14

 2008年に改正された図書館法では、図書館が所蔵する資料に「電磁的記録」という文言が加えられたが、これまでの公立図書館の無料の原則との関係について述べてください。

 

 2008年の図書館法の一部改正にともなって出された文部科学事務次官による通知においては、「図書館資料に電磁的記録を加えても従来からの公立図書館の無料原則は変更しない」と明確に解説している。

 しかし、今日の「電子資料」(電子書籍や電子ジャーナル・デジタル雑誌等)については、図書館に物理的に所蔵されるものではなく、そのコンテンツが格納されたサーバが図書館外部に存在し、その外部サーバにアクセスする方式をとるものが多いため、このような形態のものを「図書館資料」に含むのか否かという問題が生じている。

 なぜなら、公立図書館においては「図書館資料」であれば利用者から対価を徴収することはできないが、「図書館資料」でなければ、何らかの料金を課すことも可能という解釈になるからである。

 つまり、「電磁的記録」および「図書館資料」とは何かという問題は、その概念の定義によって論点が大きく変化することに留意する必要がある。