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近大通信司書

図書館情報資源概論12

公共図書館における電子書籍サービスをいくつか示して、今後の電子図書館サービスについて論じてください。

 

 はじめに公共図書館における先駆的な電子書籍サービスの実例を示す。

①北海道岩見沢市図書館

 電子書籍を図書館内の端末で利用者の閲覧に供するサービス(現在は休止)

奈良県生駒市図書館

 電子書籍端末を利用者に貸出して利用に供するサービス(現在は休止)

③東京都千代田区図書館

 電子書籍を利用者が自分のパソコンなどにダウンロードして閲覧する非来館型サービス(画面のコピー制限・貸出期限後の自然消滅・同時に一人しか貸出しない等、著作権保護への配慮をしている)

 

 上記の実例は、公共図書館における電子書籍サービスのあり方について、さまざまな方法で模索する様子を示している。

 旧来の紙媒体の資料のみを収集するという姿勢では今後の電子書籍の時代には対応できない。図書館は、現在、それらをどのように収集・保存・利用・提供するかという課題を抱えている。

 具体的な課題として次のようなものが挙げられるのではないだろうか。

・電子資料をめぐる出版界と図書館界の利害調整

両者にとって目指すべきは、著作がより一層利用されやすい環境を整えることである。

・電子資料の収集・保存・蓄積についての役割分担

 大規模なデジタル化や新たな電子資料の収集は国立国会図書館、それ以外は出版社などがサービスを提供するといったすみ分けを協議することも求められる。公共図書館には、情報への公平なアクセスを保証する役割から、例えば「障害者向け電子書籍」、「地域資料の電子化」、「ボーンデジタルの電子書籍」などの提供が考えられる。

・新しい図書館像の構築

 図書館の新しい姿として、紙媒体と電子資料を使い分ける「ハイブリッド化」、さらに「プロバイダー(ナビゲーター)としての役割」を担うことである。