kindaitsushinshisho

近大通信司書

図書館情報資源概論10

日本の出版流通の特徴を3つあげ、出版社から読者までの主流な流通経路について説明してください。

 

 日本の出版流通の特徴は次の3点に整理できる。

 ①取次が流通の中心的役割を担っていること。

 日本の主流な出版流通経路は「取次経路」(出版社→取次→小売店→読者)である。取次は出版社と小売店の中間で、仕入れと配本・運送・代金の回収や支払い・情報提供といった流通の円滑化・効率化に欠かせない役割を果たしている。

 しかし、二大取次(日販・トーハン)による寡占状態にあり、小さな出版社や小売店にとっては不利な仕組みとなっている。

 ②委託販売制(返品条件付買切制)によって、新刊が流通していること。

 委託販売制とは、取次が出版社から新刊本を預かり、小売店に販売を委託し、小売店は一定期間内ならば返品できるものである。

 小売店にとっては新刊本を売れ残りの心配をせずに安心して店頭に並べられる点、また出版社にとっては店頭で読者の目に触れる機会が増やせる点がメリットである。

 ただし、小売店は取次から入荷した商品に対して毎月締めで支払いを行わねばならず、また入荷する書籍の品揃えは取次の裁量に任されている。

 ③再販制によって定価販売が一般的であること。

 再販制とは「再販売価格維持契約制度」であり、出版社が小売店に対して販売価格を拘束するものである。

 読者にとっては価格の地域間格差などが避けられ、いつでもどこでも同じ価格で購入できる点、小売店にとっては値引き競争を避けられる点などのメリットがある一方、大量の売れ残りが発生する点や流通寡占の固定化により新規参入を阻んでいる点などのデメリットがあることは否めず、改善を求める意見もある。