kindaitsushinshisho

近大通信司書

図書館情報資源概論20

日本の出版社が「デジタル雑誌」への取り組みを急速に展開している理由として、ふたつの要因をあげてください。

 

 第1の要因は、「紙媒体の雑誌の販売不振」である。

 近年、雑誌の販売は非常に低迷している。販売総金額はピーク時(1996年)の約1兆6000億円に比べて、5000億円近くも減少し、また、返品率は36%程度となっている。このように販売不振と流通コスト高という悪循環をくりかえす状況に陥っている。

 第2の要因は「広告モデルの変化」である。

 消費者のパソコン利用時間の拡大により、インターネット広告のシェアが飛躍的に伸びた。現在、雑誌広告や新聞広告を追い抜き、テレビCMに次ぐ第2位となる一方、雑誌広告費は毎年下降し続けている。

 以上のように、従来の雑誌ビジネスを支えてきた購買費と広告費による収入がともに苦しい状況にあることから、出版業界は「ネット広告の優位性」に死活を賭け、デジタル雑誌という新たなビジネスモデルの構築に取り組むこととなったのである。