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近大通信司書

生涯学習概論19

 現在の激しい社会の変化は、人類や地球的規模で展開しており、まさに深刻な事態を招きつつあるといわれています。ポール・ラングランは、このような社会の変化を、人間社会に対する自然からの「挑戦」だといっております。

 彼は、このような社会の変化に対応する方法を考えました。それはどんな方法なのか。説明してください。

 

 ポール・ラングランは、激しい社会の変化に対応する方法として「生涯教育」を位置づけた。以下に、ラングランの生涯教育の概要を説明する。

(1)生涯教育の意義

個人の生涯にわたる教育機会(タテ軸)の統合と、社会の教育機会(ヨコ軸)の統合

(2)生涯教育論の枠組み

彼の生涯教育論は、次の3つの枠組みでとらえることができる。

①地球規模での課題に対する対応策

(近代社会の行き詰まりを個人的・社会的に克服する)

②「新たな能力」獲得の手段

(社会の変化に柔軟に対応する適応力を獲得する)

③新しい教育制度

(新たな能力を獲得するには従来のやり方では限界がある、つまり生涯教育は従来の教育制度への批判を前提とする)

(3)生涯学習の目標

①人の誕生から死に至るまでの人間の一生を通じて教育の機会を提供する。

②人間発達の総合的な統一性という視点から、さまざまな教育を調和させ、統合したものにする。

③労働日の調整、教育休暇、文化休暇等の措置を促進する。

④小・中・高・大学とも地域社会学校としての役割、地域文化センターとしての役割を果たすように勧奨する。

⑤従来の教育についての考え方を根本的に改め、教育本来の姿に戻すため、この理念の浸透に努める。