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近大通信司書

図書館概論01

図書館学の五法則とは何か説明してください。

 

 「図書館学の五法則」とは、インド図書館学の父ランガナタンが、マドラス図書館協会から発表したものであり、図書館の理念と本質を端的に表している。以下にその内容を説明する。

 1)図書は利用するためのものである

 第1法則は、図書館の公共性を説く。

 図書館を取り巻く環境について、①利用しやすい場所(立地)②利用しやすい開館時間③居心地のよさ(家具)④専門的知識を持った図書館員(職員)に分けて考察し、図書館の資料は「保存」のみならず「利用」すべきものであるとする。

 2)いずれの読者にもすべて、その人の図書を

 第2法則は、平等な利用者サービスを説く。

 国籍・性別・年齢・貧富の差・政治的条件やその他によって差別されることなく、すべての人が図書館を利用する機会を守らねばならないとする。

 3)いずれの図書にもすべて、その読者を

 第3法則は、図書館の本と利用者を結びつけるための方法を説く。

 その手段を①図書館の開架性、②分類・目録・書誌の整備、③書架配置の工夫、④レファレンス・サービス、⑤館外活動、⑥利用者本位の選書、とする。

 4)図書館利用者の時間を節約せよ

 第4法則は、迅速なサービスを説く。

 そのためには、レファレンス・サービスや目録作成の質の改善、わかりやすい図書閲覧環境(棚の見出しやラベルの添付位置などの工夫)が必要であるとする。

 また目録作業について、1930年代にすでに世界標準化の必要性を訴えていたことは彼の哲学の普遍性を実証するものである。

 5)図書館は成長する有機的組織である

 第5法則は、図書館の計画と組織について説く。

 図書館の成長とは、①資料や職員の充実、②建物の拡張、③利用者の増加である。利用者のニーズを反映しながら発展していくことが図書館の理想の姿である。